2007年8月アーカイブ

行列のむこうに歓びがみえる

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堂島ロール(モン・シュシュ)

夕方、中之島の朝日新聞社ビルから渡辺橋を渡って北に向うと、
橋のたもとのポリボックスのあたりから、ずらりと人の列ができて
いる。春先の気持ちのよい季節ならわかるのだが、日は落ちたと
はいえムッとした熱気が漂う真夏の夕暮れ時に、たくさんの、そ
れも若い男女が列をなしている。
大阪人といえば、イラチで並んで待ってまで物を買うという習性は
あまりない。何事だろうかといぶかっていると、オレンジの紙バッ
クを持っている人が店から出てくる。これが今、ちょっとしたブーム
の「堂島ロール」の販売元、モン・シュシュだ。

070803_174410.jpg

「堂島ロール」(1,050円)は、生クリームをつかったロールケー
キ。生ものだから、その日にうちに食べ切ってしまわなくてはなら
ない。また、販売数量も限られている。しかも、駅に近いデパート
には出店していない。お取り寄せも、この時期はやっていないと
なると、面倒でも堂島のお店にまで足をのばすしかない。
この「限定的」で、「ちょっと面倒」という状況は、人の所有欲を
かきたてるのだろう。しかも、価格設定がそれほど無理でなく、
なかなか魅力的だ。だから、行列のできる店になったのか…。

そう、大阪で行列のできる店は、他にもある。
鞍公園のそばの「ブランジュリ タケウチ」は、3時ごろには売切
れてしまうほどだ。しかし、大阪一名高いパン屋とはいえ、モン・
シュシュに比べるとマスコミ露出度は少ない方だ。これは、パン
という性格上、自家用消費がほとんどだからだろう。客層も、女
性が圧倒的だ。

「堂島ロール」の場合、大仰なギフトではなく身内ギフト商品だか
らだろう、男性客が目立つ。
「堂島ロール」の紙バックを持って足早に駅に向う男性のその先
には、眼を輝かして喜ぶ女性がいるのではないかと思わせる、
歓びがある。ここに、行列の本当のヒミツがあるのではないだろ
うか。

この現象は、難波の「りくろーおじさんの店」の焼き立てのチーズ
ケーキ(525円)を求めて長い行列ができることと同じだろう。
ただし、チーズケーキを待っているのは、子どもを中心としたファミ
リーだ。

同じケーキでも、「堂島ロール」というネーミングがかもしだす
イメージには、ビジネス街に働く男女のストリーが感じられる。
これこそ、ターゲットをしっかりと見定め、物語を創りだした
マーケティングの勝利だといえるだろう。

◎モン・シュシュ
http://www.mon-chouchou.com/

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